鎌倉市で家を増築したいと思っても、敷地に空きがあればそのまま建てられるとは限りません。建ぺい率や容積率に加え、道路や景観、風致地区なども関係します。
地域情報メディア『鎌倉ごこち』のライター、みつひろです。ぼくも住まいの手続きは、工事内容より先に「その土地で何が関係するのか」を知りたいほうです。
増築に当たる工事、建築確認、敷地ごとの建築ルール、鎌倉市ならではの景観や風致地区まで、工事を頼む前に知っておきたい順に説明します。
増築はどんなものを指すのか
増築は、既存の住宅に部屋を足すなど、同じ敷地内で建物の床面積を増やす工事を指します。離れやサンルームを造る場合なども、計画によって増築として扱われることがあります。
「少しだけ広げるから大丈夫」とは言い切れません。増やす面積だけで手続きの要否は決まらないからです。

小さな増築でも、先に敷地の条件を見たいですね
建築確認が必要かは工事内容で変わる
増築では、工事を始める前に建築確認が必要になる場合があります。建物の規模や構造だけでなく、敷地が防火地域や準防火地域に入っているかなどによっても扱いが異なります。
特に「10平方メートル以下なら何もしなくてよい」と一律には考えられません。2025年4月には建築確認に関する制度も改正されています。
- 建築確認
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工事前に建築基準関係規定への適合を確かめる手続きです。
- 景観の届出
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一定規模以上の増築などで市への届出が関係する場合があります。
- 風致地区の許可
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指定区域内の増築では別に許可が必要になる場合があります。
建ぺい率と容積率には増築分も関わる
庭に空いている場所があっても、そこへ自由に部屋を足せるとは限りません。既存住宅を含めた建築面積や延べ面積が、敷地に定められた建ぺい率や容積率の範囲に収まる必要があります。
つまり、敷地の広さだけでは分からないということです。今の建物がどのくらい建ぺい率や容積率を使っているかも関係します。
用途地域は住所によって条件が異なる
鎌倉市では地域ごとに用途地域が指定され、それぞれ建ぺい率や容積率などが定められています。同じ市内の住宅でも、住所が違えば増築するときに関係する数値も同じとは限りません。
市の「かまくらわが街マップ」では、住所から用途地域などを調べられます。重要な計画では、都市計画課で正式に確かめる必要があります。
敷地に接する道路も重要になる
建築物の敷地は、原則として建築基準法上の道路に一定の幅で接している必要があります。鎌倉には狭い道も多く、目の前に道があるだけでは建築基準法上の扱いまでは分かりません。
道路の種類は現地の道幅だけでは判断できません。鎌倉市では、建築指導課の道路台帳で道路種別を調べられます。
- 用途地域と建ぺい率・容積率
- 敷地に接する道路の種類
- 防火地域・準防火地域の指定
- 景観や風致地区などの指定
景観の手続きは場所と工事規模で異なる
鎌倉市は市全域が景観計画区域です。一定規模以上の土地で増築などを行う場合は、景観法に基づく届出が必要になることがあります。
対象になる場合は、図面などを用意して都市景観課へ届出を行います。原則として、届出をしてから30日が経過するまでは工事を始められません。
さらに由比ガ浜通りなどの特定地区では、一般の区域より届出対象が広くなります。増築場所の住所から、どの地区に入っているかを見る必要があります。
景観地区で確認したいこと
鎌倉駅や北鎌倉駅の周辺には「景観地区」があります。この区域で増築などを行う場合は、通常の景観計画区域の届出とは別に認定申請が必要です。
申請では、建物の高さや屋根・外壁の色などが地区の基準に合っているか審査されます。市長の認定を受けるまでは、工事を始めることができません。
認定申請には、配置図や平面図、着色した立面図、現況写真などが関係します。若宮大路や小町通りでは、認定申請より前の事前協議も必要です。
風致地区で行う事
鎌倉市では市域の半分以上が風致地区です。対象となる増築では、工事を始める前に「風致地区内行為許可申請書」などを都市景観課へ提出し、市長の許可を受けます。
審査では建物の高さや建ぺい率だけでなく、敷地境界から建物までの距離、外観、緑化なども関係します。敷地内の植栽計画が必要になる場合もあります。
対象となる場合は、建築確認申請より前に風致地区の許可が必要です。許可後は現場への許可標の掲示、着手届、工事後の完了届と写真提出まで続きます。
既存住宅の資料も増築前に見ておきたい
増築で調べるのは、新しく造る部分だけではありません。今ある住宅がどのように建てられたかや、その後に増改築をしているかによって、工事前に調べる内容が増えることがあります。
まずは家にある書類を探しておくと、図面や確認済証、検査済証などがあれば、設計者へ相談するときにも役立ちます。
用途地域に加え、景観地区や風致地区に入っているかを見ます。
図面や確認済証など、今ある建物の資料を探します。
景観の届出や認定、風致地区の許可が関係するかを見ます。
必要な許可や届出を設計者や市の担当課と確かめます。
工事を頼む前に敷地条件まで伝えておく
増築の見積もりを取るときは、「何畳の部屋を増やしたいか」だけでなく、敷地の住所や既存住宅の資料も一緒に伝えられると、必要な手続きを調べやすくなります。
景観や風致地区などが関係する土地では、計画を作った後で条件が分かると修正が必要になることもあります。契約や着工より前に調べておきたい部分です。
さいごに
増築を考え始めたら、まず自宅の住所と手元にある建物の図面を出してみると、用途地域や今の建物について調べる準備ができます。
ぼくは間取りから考え始めるより、土地と今の住宅について分かってから話を進めるほうが安心だと感じます。鎌倉では景観や風致地区まで関係する場所があるからです。
今週末にでも、図面や確認済証が残っているか一度探してみてください。手元の資料が分かれば、設計者や市へ相談するときの話も進めやすくなります。増築について落ち着いて考え始めるきっかけになればうれしいです。












